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第４話後編 （作：青大将） 「おい。お前もこっちに来ないか?」 「いや。今は刑事やっていたほうが楽しいからな。」 「そうか。お前らしいな。」 帰り際、聖人は藤木に対して意味深い言葉をかけていた。 「警察学校同期と警察庁ＧＳＧ−９派遣隊第一期の伝で仲良くやれると思うのだが。」 「おいおい、それは俺たちの経歴からも消されている超極秘事項だろ？」 藤木は聖人の言葉に思わず苦笑した。 「そのことなのだが…誰かがお前の経歴を探っているみたいだぞ。」 「…そうか。まあ…大体検討はつきそうだが注意する。」 聖人の言葉に藤木は一瞬動きを止めた。 「だからこれでも着ていろ。」 「…こんなもの着ていたら、動きが制限されるが預かっておくよ。」 聖人は車に乗り込もうとする藤木に一枚のべストを投げて渡し、藤木はそれを受け取ると車に乗り出口へ向かった。 「…相変わらず問題ばかり起こしていそうだが、昔に比べ丸くなったな。女でもできたのか…。」 藤木の車を見送りながら聖人は思わずぼやきをもらしていた。 数時間後の海鳴署、捜査が進まない面々は開いた時間を利用して交代で自宅へ着替えなどを取りに出かけていた。 「葉弓さん、うちらは行ってきましたから食事と着替えを取りに帰ってください。」 「ええ、それじゃ私も行って来るわ。真雪さんやみんなはもう行って来たようだし。」 寮から戻ってきた薫は最後に残っていた葉弓に声をかけていた。 「どうせなら藤木に送ってもらったらどうだ？送り狼になったりしてな。」 「もう真雪さんそういうことは言わない。」 真雪はニヤリと口元に笑みを浮かべ部屋から出ようとする葉弓に悪戯っぽく言うと、横にいた瞳に思わず突っ込みを入れられた。 「でもさっき藤木さんアパートに行って来るって出かけていきましたよ。」 「そうそう食事もしてくるっていったたし帰りに葉弓さんの所にまわってもらうように言っておくよ。」 「有難うございます。では藤木さんに連絡してください。携帯電話を机の上に置いたまま出かけたようですし。一時間位で終わると思いますから。捜査車両で行ったようですから無線なら通じると思いますから。」 真一郎と耕介は葉弓に伝えると、葉弓は真一郎と耕介に礼を言い自宅への帰路に着いた。 「おい出てきたぞ。中々の上玉だな…あのお人も目が高い。」 海鳴署から少しはなれた場所に止まる一台のワンボックスカーの中では数人の怪しい男達が警察署から出てきた葉弓を見つけてそのうち一人が後をつけていた。 「自宅に帰って出てきた所を拉致するぞ。そしてお楽しみだ。」 葉弓の自宅の場所を確認すると尾行をしていた男は車に戻り男たちは口元に笑みを浮かべていた。 「藤木さん聞こえていますか？うーんまだ戻ってないのかな。」 「ああ悪い何かあったのか？事件か？」 その頃自宅で食事などの所用を済ませた藤木は車に戻り、無線から聞こえる唯子の声に反応し無線を受けていた。 「えっと私的なことなのですが、葉弓さんを迎に行って上げて下さい。さっき着替えと食事を取りに自宅に戻りましたから。後２０分ほどで出てくるとおもいます。」 「判った。場所はどこになる？」 「場所はさざなみ寮の近くです。住所は……」 「判ったこれから周って署に帰る。」 藤木は住所を聞くと、車を向け走り出した。 「さっきの唯子ちゃんの電話だとそろそろね。私も外で待ってないと。」 ２０分ほど後、葉弓は所用を終え、髪を乾かした後、部屋のドアを開け夜が深くなった外に出て行った。 「追い出てきたぞ…横につけろ。」 先ほどから葉弓の出てくるのを待っていた男たちは、運転役に言うと一気に葉弓の立っている横へ車を停車させた。 「え？きゃぁ!いや!!」 「急げ!!!周りに見られたら後が厄介だぞ。」 男たちはワンボックスのスライドドアを開けると葉弓を強引に車の中に押し込もうとした。 「離して、いや!!」 「五月蝿い、これでおとなしくなれ。」 一人の男が葉弓の首筋にスタンガンをあて、放電をすると葉弓の意識は深い闇に落ちていった。 その頃藤木は葉弓の家に到着しようとしていた。そこで藤木は葉弓の拉致される現場を目撃していた。 「おい、何をやっている!!!」 「ヤバイ車を出せ。」 藤木が怒号を上げると葉弓を乗せた車は急発進をし、逃走を始めた。 「こちら藤木、誰か聞こえないか。」 藤木は自らも乗ってきた車のギアをロ−に入れるとアクセルを踏みつけ車を急発進させ無線を片手に署を呼び出した。 「藤木さん？今どこを走っているのですか？藤木さん？」 「場所は……駅前を………港へ……」 無線を受けた薫は雑音の激しい無線を聞き藤木の所在地を聞き出そうとしていた。 「神咲？何か聞き出せたか？」 後ろで無線を聞いていた真雪は海鳴周辺の地図を片手に行き先の予測を立てていた。 「全員いつでも出られるように準備して待機、拳銃と防弾チョッキも一応チェックして。」 耕介は防弾チョッキを着ると全員に自分の持っている拳銃のチェックをするよう全員に促した。 「しかしどうして神咲さんを拉致なんて…。」 「恨みを買うような娘じゃないのに。」 唯子や瞳は無線での最初の言葉がいまだに信じられずにいた。 「ああ…もう無線がはっきりしねえとどこなのかわからねえ。」 「まあまあ真雪さん落ち着いて。」 「楓、この状況がおちついてられるかってーの。」 無線の感度が悪いことに真雪は苛々し、楓はそれをなだめていた。 「もしかして…港の倉庫街に向かっているのでは。」 瞳は無線で聞こえた片言に考えを巡らせると、ひとつの答えを導き出した。 「たしかにあそこなら隠れる場所はたくさんあるけど…探すのも一苦労。とりあえず手分けして探すのだ。」 真雪の掛け声に１課の面々は部屋の外へ飛び出していった。 「あそこか…」 同じ頃藤木はとある倉庫前で闇に隠れていた。 「相手は何人いるかわからねえし…無線も何故か使えないし。突っ込むしかないか…。」 藤木は自分の拳銃のマガジンを手に落とし、弾数を確認すると傍らに置いてあったチョッキを 手に取った。 「聖人の渡してくれたものが役立ちそうだ。まさか防弾チョッキに替えのマガジン２つとはな…これで何とかなりそうだ。まずは入り口にいる見張りからだな。」 藤木は防弾チョッキを着ると闇に紛れる様に入り口へと駆け出していた。 「ヘヘへ…確かに上玉な女だな…」 「ああ…あのお方の言うことだからな。」 その頃、倉庫の一室では失神したままの葉弓をベッドに横たえ、男たちが周りを囲んでいた。 「それで、これを撮ってお楽しみといくか？」 周りにいた男の一人がビデオカメラを取り出すと回りにいた男たちは、ニヤリと口元に歪んだ笑みを浮かべた。 「ああ…始めようか。」 「さあお楽しみの時間だぜ。」 男はそういうと葉弓の上着を持っていたナイフで切り裂き始めた。 「…見張りからの連絡が無いな…。」 しばらくし、男がブラウスに最初の傷を入れ下着を覗かせようとしたとき一人の男が外の見張りから連絡無いことに疑問を感じていた。 「ああ…気がかりだ。見に行くぞ。女を見ていろ。お楽しみはお預けだ。」 「まずは一人…この様子だと相手は素人か…。」 藤木は入り口の見張りを失神させ手錠をかけるとわずかに入り口を開け中の様子を探っていた。 「入り口定時連絡がないがどうした!!おい!!」 「まずい…無線機は持っていたか、仲間が何人いるかわからない常態だから突入しかないか。」 藤木は素早く入り口薄明かりの倉庫へ入ると遮蔽物に身を預け慎重に周りの気配を探った。 「おい、お前たちはあっちを見て来い!!」 気配を探り始めた直後、２階の一室から男たちが手に拳銃を持ち飛び出してきた。 「素人とはいえ…ヤバイかな…」 藤木は近くにあった空き缶を物陰から投げわざと音を出した 「あそこだ!!!やれ!!」 男たちは空き缶の物音に反応するとそちらのほうに拳銃を発砲した。 「よし…まずは二人片付ける。」 「ぎゃぁ…」「ぐぁ…」 藤木は物陰から素早く飛び出すとちょうど階段の下へ降りてきた二人に発砲し沈黙させた。 「どこからだ!!」 「向こうからだ追い詰めろ!!」 仲間が撃たれた男たちは藤木とは反対の方向へ走り闇の中に消えていった。 「神咲さんは…男たちの出てきた部屋か…見張りを片付けて無事を確認しないと。」 藤木は素早く階段を駆け上がると部屋の少し開いているドアの間から様子を伺った。 「ううぅ…ここは…私は一体……いやぁ!!!」 葉弓は気がつくと、自分の服が切り裂かれていることに気づき思わず声を上げた。 「おい黙れ!!このアマ!!……」 部屋に一人監視としていた男は気が付いた葉弓の声に反応すると、出入り口に背を向け葉弓を取り押さえようとしたが、意識を失い前へ倒れた。 「神咲さん大丈夫か？」 「藤木さん。さあこれを着るんだ。あとこれを。」 藤木は下着が露になっている葉弓に自分の上着と防弾チョッキを渡すと着るように促し、また予備のリボルバーを渡した。 「いつも神咲さんが使っているエアウェイト 実弾５発。使えるかい？」 「はい使えます。」 「あとは脱出しなきゃいけないが………今４人…後何人いるやら。」 藤木は出入り口から外を見ると階段の下を監視していた。 「多分車に乗っていたのは７人だと思います。」 「となると…後３人〜４人か。」 藤木はそっとドアを閉めると葉弓を見た。 「神咲さん。まず電話して場所を連絡するんだ。連絡が終わったら一気に走るぞ。」 「はい。」 藤木は葉弓に携帯電話を渡すと葉弓は指示に従い、電話を始めた。 「もしもし。神咲です。」 「もしもし薫ちゃん？葉弓です。」 「葉弓さん？今どこにいるとですか？」 薫は携帯電話に出ると声の主に驚きの声を上げた。 「今、藤木さんと一緒に居るわ。場所は臨海部の倉庫よ。」 「わかりました。もう少し詳しい目印は？」 薫の言葉に葉弓は窓から外を見ると、ちょうど貨物船が接岸作業に入るところだった。 「船の名前はわからないけど…今貨物船が接岸しようとしているわ。」 「わかりました。すぐに助けに行きますから待っていてください。」 薫は携帯電話を切ると無線機を持ち、真雪達に話を伝えた。 「藤木さん薫ちゃんと連絡が取れました。」 「よし。じゃあ脱出といこうか。」 藤木はドアの隙間から天井の照明に狙いをつけると、照明を撃ち、あたりを闇に落とした。 「神咲さん。走れ!!」 「はい!!」 藤木はドアを勢い良く開けると葉弓は次の物陰へ走りこみ辺りをうかがった。 「どうなっている!!」 「かまわねえ!!撃ちまくれ!」 そして辺りが闇に落ちたことで半パニックを起した男達は回りに向けて銃を乱射し始めその中を入り口に向かい藤木と葉弓は走り出した。 「何の騒ぎだ。あいつらしくじったか。」 その頃、様子を見に着た氷村は、倉庫の中から聞こえる銃声に顔をしかめていた。 「氷村の旦那!!すいませんしくじりました。」 その中倉庫の入り口から出てきた男は氷村を見つけると駆け寄り話しかけた。 「相手はあの刑事か…ちょうどいい始末をここでするか。」 氷村は口元で笑うと、自分の乗ってきた車からライフルを取り出し、倉庫の中に男と入っていった。 「旦那…この暗闇で狙撃は不可能では。」 「安心しろ、こいつにはナイトビジョン・ライフルスコープ、そしてサイレンサーが付いている…。」 「さすが旦那抜かりが無い。」 「そういうお前は失敗ばかりだな…。まあいい後で仕事はしてもらう。」 氷村は隣の男をにらむと、口元に笑みを浮かべた。 「そうだ…仲間に逃げるように言って来るんだ。終わったら戻ってこいよ。」 「へいわかりました。」 男は氷村の指示に従い仲間を探しに闇に消えると氷村はそれを確認し入り口近くの床に寝転がり藤木たちの来るのを待った。 そして数分後入り口近くには葉弓と藤木が闇の中でこちらに狙いを付けられているとは知らずに現れた。 「さあ…私に恥をかかせた報いを受けてもらうよ、神咲君。横にいる男の死をもって。」 葉弓がコンテナの陰に隠れ藤木がそれに続こうとした瞬間、氷村はライフルの引き金を２度引き、弾丸は藤木へ向かい空間を飛翔し藤木の持っている拳銃と胸に吸い込まれた。 「旦那、全員逃げましたぜ。後は旦那と自分だけです。」 「そうか…じゃあお前には最後の仕事をしてもらおうか。」 男が戻ってくると氷村は懐から別の拳銃を抜くと男の頭を撃ち抜き、拳銃とライフルの指紋を丁寧に拭き、男の左手の指紋を付け拳銃を握らせ立ち去った。 「痛。」 何も音の聞こえない飛翔物に藤木は拳銃を持っていた手を弾かれると。次の瞬間胸に熱いものを感じた。  「ぐは………。」 「え？藤木さん!!!」 一発の銃弾は葉弓の目の前で藤木の胸を撃ちぬき、藤木はその場に倒れた。 「藤木さんしっかりしてください、藤木さん!」 「神咲さん……そんな事すると服が汚れるぞ。」 葉弓は右胸を撃たれた藤木を膝の上に乗せ抱きかかえると出血箇所にハンカチを当て押さえた。 「神咲さん…そんなことしてもこの出血は止まらない…肺からも空気が漏れているから…長く持たない。」 「駄目です。救急車とみ皆をすぐに呼びますから…そんなお別れのようなこと言わないで ください。」 葉弓は泣きながらも先ほど渡された携帯電話をポケットの中から探すと、まずは救急車、そして署に電話をかけた。 「神咲さん…段々寒くなってきた………そろそろ本当にお別れかもな。」 「藤木さん、そんな事言わないで下さい、大丈夫ですから。」 「泣くな…神咲さん………悪い…本当にお迎えがきたようだ。紅葉が呼んでいる…。」 大粒の涙を流す葉弓の髪を撫でると藤木の手から力が抜けた。 「ちょっと…まって下さいよ…ねえ冗談でしょ藤木さん…藤木さん!!」 遠くから聞こえるサイレンの音に混じって葉弓の絶叫と後に続く嗚咽が倉庫の中に木霊し、足元の血の海に葉弓は囲まれていた。 状況から数時間後、手術を終えＩＣＵのベッドにはさまざまなセンサーと点滴に繋がれた藤木の姿があった。 「葉弓さん…着替えもってきました。着替えて少し休んでください。」 「有難う唯子ちゃん。着替えてシャワー借りて戻ってくるわね。」 葉弓は唯子から着替えを受け取ると、ゆっくりと廊下を歩いていった。 「藤木のやつ、今夜が山だとさっき先生が言っていたな…出血が多すぎたらしい。」 真雪は葉弓が見えなくなるのを見計らってみなの前で医者から聞いたことを話していた。 「藤木さんの付き沿いはどうします？捜査にも戻らないといけないですし。」 「ああ、私と葉弓が残るから皆は戻ってくれ。藤木のやつをこうした野朗を早くとっつかまえないと。」 真一郎の言葉に真雪は怒りを押し殺しながら現場に戻るように指示をした。 「ここはどこだ…。」 その頃藤木は一面の花畑の中に立っていた。 「たしか俺は撃たれて…。そうか…ここがあの世というわけだ。」 藤木は花畑を歩き出した。 そしてしばらく歩くと、藤木の前に見覚えのある女性が立っていた。 「紅葉……久しぶりだな。」 「高志さん。」 藤木の前に現れたのは数年前に命を落とした紅葉であった。 「どうしてここに着たのですか？」 「撃たれて死んだのかな。」 「そんなことはないはずですよ。貴方はまだ病院のベッドの上で生きています。私は貴方を迎えに着たのではないのですよ？」 紅葉の質問に答えた藤木だが、紅葉はそれを否定した。 「そんなことないだろう？現に俺は紅葉の元にいるのだから。」 「いいえ、貴方は今生と死の境にいるだけなのです。」 「そうか……。」 藤木は紅葉の言葉に一応の納得した。 「でも…私が貴方を迎えにきたとしてもまだまだ先ですよ？生きている貴方には一緒にいてくれる大切な女性がもういるはずですよ。その方を悲しませてはいけません。」 「紅葉……。」 「私は生きているときに貴方からたくさんの思い出を貰いました。そして生きた証も。あの娘は元気でいますか？」 「ああ…かまってやれなくて悪いが今は実家に預けている…時々遊びに着ているし元気だ。」 「そうですか…あの娘のためにも貴方は死ねませんよ。」 「そうだな…俺は戻るとするよ。それと紅葉…俺が他の女性（ひと）と付き合っても許してくれるか？」 「そうですね…私にしてあげられなかったことをしてあげて幸せにするなら許してあげます。不幸にしたら。見ていますから不幸にしたら恨みますよ？」 藤木の言葉に紅葉は一瞬悲しそうな顔をしたが笑顔で答えそして藤木の視界から消えていった。 同時に藤木の意識も又深い闇へ落ちていった。 「ここは…………病院か。ああ…神咲さんこんなところで寝て風邪ひくぞ。」 藤木は目を覚ますと辺りを見回し、そしてベッドにもたれて寝ている葉弓の髪を優しく撫でた。 「藤木さん、お加減はどうですか？」 数日後。ICUから個室に移った藤木を葉弓は見舞いに着ていた。 「ああ神咲さん。だいぶよくはなったよ…早く退院したいくらいだ。」 「駄目ですよ。まだ傷だって完全にふさがってないのですから。」 藤木の言葉に葉弓は苦笑して持ってきた着替えの下着などを棚にしまっていた。 「藤木さん…この前は御免なさい…私がもっと用心していれば…。」 「そのことは気にすることは無い……それと俺も神咲さんに大事な話がある。」 藤木は葉弓の言葉聞いた後、葉弓の目を見て話を切り出した。 「信じてはくれないかもしれないが…。意識が無いときに紅葉に言われた。一緒にいてくれる大切な女性を悲しませるな。そして私にしてあげられなかったことをして幸せにしてやれと。たぶん神咲さんのことを言っているのじゃないかと思う…。」 「それって…あのそのえっと…。」 葉弓は顔を少し赤くすると、涙目で藤木をみた 「……ただ一つ問題があってな…この話を聞いてくれ…。実は。」 「おとーさん。おとーさん。おとーさん!!」 藤木の話が終わる前に小さな女の子が藤木のベッドに駆け寄り大声で泣き出した。 「え？ふ、藤木さんおとうさんって…この女の子は一体。」 「ああ…悪い…話というのはこの娘のことなんだ…。実は紅葉と俺の間には子供がいてな…。」 葉弓は驚いた表情を見せ、さらに藤木の言葉に目が点になった。 「桜、さあ泣いてないでお姉ちゃんに挨拶しなさい。」 藤木は女の子を宥めると、挨拶をするように桜に話しかけた。 「ふじきさくらです。おねえちゃんは？」 「お姉ちゃんは神咲葉弓よ、よろしくね桜ちゃん。」 「桜。挨拶が終わったらお爺ちゃんとお婆ちゃんと来ているのだろ？心配するからお爺ちゃんのところに行っていなさい。」 「はーい。はゆみおねえちゃんまたね。」 桜と葉弓の互いの自己紹介が終わると藤木は桜に祖父母のところに行くように促し、桜はそちらへ向かった。 「……幻滅しただろ？子持ちだったなんて。正確に話すと、紅葉と俺の娘だ。実は紅葉は高校卒業直後に俺の子供を身ごもり生んだ…。こんな俺でも付き合ってくれるか？」 「いいえ…私の心はこれくらいじゃ変わりませんよ。可愛い娘さんじゃないですか。そんな藤木さんでも私はいいですよ。」 藤木は事の真相を話すと、葉弓はそれを受け入れてそして顔を赤く染めてうつむいた。 「ありがとう。とりあえず遊びにも行きたいと思うがまずは体を治さないと。」 「そうですね。私が看病しますから早く良くなってくださいね。」 藤木と葉弓は顔を見合わせるとクスクスと笑い出した。 第４話後篇 完 あとがき えー…またまた大変間が開いてしまいました。ようやく第４話が完了しました。 最近考えて見ると書き始めて早３年たったことに驚かされました。後どれくらいかかるのか考えるのが最近コワイです（苦笑 さてお話のほうですが…とんでもない隠しネタが出て着てしまいました。娘の登場です。詳しいことは第五話の始めで書きますが…これをネタに皆にからかわれることは確定してます（ぇ そして第五話で物語が完結しますが…これからの展開は風任せにになりそうです（ぉぉぃ ということで第５話をお楽しみに。最後に今回出てきたエアウェイトの説明をつけまして今回は終了です。でわでわ。 注釈 Smith & Wesson Model 37：近年警察用拳銃として警察官の従来装備のニューナンブに変わり配備が始まったアメリカ製の回転式拳銃。フレームはアルミ合金で出来ている。 ▼next ▲prev |