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中央王国 王城内部 王城の中を向かってくる敵を撃破しながら駆け抜ける集団があった。 聖龍王サイガを筆頭とした四人の王、そして大魔導ライセンをはじめとした各部族の精鋭達である。 「ったくよー、上へ上がる階段は何処だよっ？」 いい加減うんざりと言いたげな顔をしながら、獣牙王エドガーがぼやく 「文句を言うな、言う暇があるなら走れ、下では皆や父上達が、皇魔が溢れるのを塞き止めてくれているのだから」 鎧羅王ポラリスが、走りながら凛とした声で、エドガーを諭す。 先日の会議の通り、突撃を開始した四部族は、四人の王をマステリオンの元へ向わせる事を優先し、一階の中央に配置されていた巨大なゲートから溢れ出る皇魔族達を排除する為に、前王四人、各守護獣、そして各部族の兵達が戦っている。 「そうですよ、一刻も早くマステリオンを倒してゲートを封印しないといけませんからね」 ポラリスに賛同するように、飛天王アレックスが言った。 「わーってるよ…っとぉ！！」 「グゲエェェェェェェェ」 返事をしながら、自分に向ってきたボンバッドを殴り飛ばす。 「どうやら、あれが上へ通じる部屋の様だな」 話に加わらず、敵を斬りながら先頭を走っていた、サイガが言うのを聞いて前を見ると 他の扉よりも、装飾が施された大き目のドアがあった。 「おっしゃぁぁぁぁ、いっくぜえっ！！！」 そう言いながら、サイガを追い越して扉に向う 「王、突っ走りすぎですよっ」 一人、突出したエドガーを責めるように、セツナが言うが既に遅かった。 扉は、エドガーの拳で、大きな音と共に破壊されていた。 「へっ…さぁーて、上への道は………」 余裕を持った顔で部屋を見渡していた、エドガーの顔が突如、何かを睨み付けた。 「どうした、エドガー？」 追いついたサイガが、訝しげに思いながら部屋の中を見ると、そこには…… 「いらっしゃぁ〜い♪」 艶がかった声を発した皇魔将軍アスタロットが、同じ魔将軍であるベリアール、アリオクと共に立っていた。  「よくも、ここまで…」 「ここまで来たのは、賞賛に値するか…」 アスタロットとは違い、重い口調で、ベリアールとアリオクが言葉を発した。 「まぁ、ここで終わりだけどねぇ」 そう言いながらアスタロットが指を鳴らすと、部屋のあちこちから、ギュウキ、ボンバッド、ヘルギブンといった皇魔のモンスター達が大量に姿を現した。 「ここより先に進む事許されぬ、我らの手により散るがいい」 アリオクがそう言いながら、モンスター達を放とうとする 「……どうしますか？」 アレックスが、サイガに訊ねる。 「くっ…ここで、時間を食うわけにはいかないと言うのに…」 「ならば、ここは私達が引き受けよう」 そう言いながら、大魔導ライセン、征嵐剣シオンが前に出る 「ライセン、シオンっ」 「元より、奴らとは決着をつけるつもりで居た、ここは私たちに任せて行け」 「しかしっ」 「心配しなくても平気よ、私もライセン様もこんな所で死ぬつもりはないからね」 「分かった…ここを任せます」 「「承知した（しましたっ）」」 「私が仕掛けたら、一気に突っ切れっ！！」 そう叫ぶと、道を塞ぐモンスターの群れにライセンが突っ込み、魔物たちの中心に立つ 「受けよ！奥義っ、天涯地核！！！！」 その声と共に、ライセンを中心に床が盛り上がり、隆起した地面が自然の槍となり、周囲のモンスター達に襲い掛かる。 「今だ、行けぃっ！！」 その声が出るか否かの瞬間に、サイガ達は既に走り出していた。 「そうはさせな…っ！？」 サイガ達の進む道を、阻むために動こうとしたアスタロットの目の前に雷撃が走り、飛びのく 「行かせないわよ、貴方の相手は私よ、アスタロット」 雷撃を放った手に剣を持ちシオンが、アスタロットに言い放つ 「征嵐剣シオン…いいわ、ここで決着をつけてあげる、貴方の死という決着をね……」 そう言いながら、武器である鞭に手をかけた。 その間に上へ急ごうとするサイガ達に、アリオクが迫る 「行かせはせぬといったはずだっ！」 その鍛え抜かれた体から放たれる、常人を越えた速さを持つ剛剣をサイガ達に向けて振り下ろそうとする。 「そうはさせんわっ！！」 その声と共に、巨大な鉄球が、アリオクに襲い掛かる。 「何っ！？」 向ってきた鉄球を、とっさに避けて、向ってきた方を見ると… 「お前さんの相手は、わしだ」 そう言いながら、巨大なハンマーを担いだ男が言った。 「天魁星マルス……いいだろう、貴様を倒すのも我が目的の内だ…」 振り下ろし損ねた剣を、肩に乗せながら向き直った。 ライセンとベリアール、シオンとアスタロット、マルスとアリオク、魔将軍と三人の戦いの火蓋が切って落とされた。 上の階に上がったサイガ達は、後ろを振り返らず向ってくる敵だけを排除しつつ先を急いでいた。 「大丈夫かねぇ、マルス様は」 そう漏らしたのは、銃使いバレットである。 「問題ないでしょう、ウェポンマスターと呼ばれるほどの方ですし、私達の部隊のまとめ役なんですから」 落ち着いた声で返すのは、彼のパートナーである、操りギーファだ。 「そうだな、マルスならば心配はいらん筈だ」 自信に満ちた声で、ポラリスが二人に言う 「お喋りは、それぐらいにした方がよろしいかと、どうやら着いたようですよ」 絶影、もといクオンの声でポラリスと二人が前を見ると、そこには巨大な扉が見えた。 「あれが、皇帝の間ですか？」 「ああ、以前と同じなら、奴はあそこに居るはずだ」 アレックスの問いにサイガが答える。 「それでは、私達は、ここで追ってきた雑魚を排除しますか」 そう言いながら元来た道に向き直るナルサス 振り返った先には、サイガ達を追ってきた皇魔のモンスターの集団が溢れていた。 「おっしゃ、ポラリス様、ここは任せてください」 「必ずや、マステリオンを」 「分かっている、二人とも、ここを頼む」 バレットとギーファの言葉に、答えるポラリス 「アレックス様、必ず御戻りを……」 「ええ、分かっています、ここは頼みましたよ」 ナルサスに答える、アレックス 「王、勝利以外は認めませんからね？」 「おうよ、誰に言ってんだよ、必ず勝つぜ」 セツナに、自信たっぷりに返すエドガー 「サイガ様、後はお任せします、御武運を」 「ああ、行ってくる」 クオンの言葉に、そう答えたサイガは扉を開き、中へ向う 三人の王もそれに続いた。 ばたりと扉が閉じられ、ナルサス達は、敵を見る。 「さて、かなりの数になりましたねぇ」 他人事のように言いながらも、剣を構えるナルサス 「ここから先へは行かせぬよ」 「我が王の邪魔をするものは、誰であろうと排除させてもらう」 刀を、拳を構えて、クオンとセツナがモンスター達を睨む 「ここまで来たんだ、道を作ってくれたマルス様達のためにも」 「一匹たりとも王達の邪魔はさせませんよっ」 バレットが銃を構え、それに合わせるようにギーファが人形を動かし始める。 サイガ達が、たどり着く少し前… 皇帝の間 暗く邪気の溢れる部屋に対峙する二つの影 かつての皇帝フガクを屠り、偽りの皇帝を名乗った魔王マステリオンと輝煌王シリウスである。 「たった一人で、よくここまで来たものだな、シリウスよ」 「やっとお前を倒せる時が来た、この瞬間を待ち望んでいたぞ、マステリオン…」 そう言いながら、両手に持った玄武の楯と双剣を力強く握り締める。 「……フッ、もはや言葉は必要あるまい、完全に復活した我が力と姿、その眼に…身体に刻み込んだ上で冥府へ行くがよいっ！！！」 その言葉を言い終える瞬間に、シリウスが斬りかかる。 「はぁぁぁーーーーーっ！！！！」 「甘いわっ！」 激しい金属の擦れ合う音と共に、止まる二人 シリウスの振り下ろした剣は、マステリオンの手に掴まれていた。 「くうぅぅっ」 「その程度の力で、我に傷を付けられると思うなっ」 掴んだ剣ごと、シリウスを床に叩きつける。 「……がはっ！？」 「潰れろ」 静かに言葉を発すると共に、その巨体の足をシリウスを踏み潰すために動かす 「ううっ……はっ！」 苦しみながらも、床を転がって足を避ける。 「ほぅ…まだ動くか、だがそれもいつまでもつかな」 身体の痛みを堪えながらも立ち上がるシリウス 「はぁ…はぁ……はぁ………」 （このままでは…いずれ敗れるは必須……しかし、奴に一太刀でも手傷を与えなければ…でなければ、あいつにだけ重荷を与えてしまった罪を償う事はできない！！） 再び剣を握り締め、強い意志を持った眼でマステリオンを見据える。 「行くぞ…マステリオンっ！！」 楯を投げ捨て、剣に全ての力を籠めてマステリオンに向って走る。 「捨て身か……愚かな、死ねいっ！！！」 「受けよっ！ゾディアックブレイカーーーーーーーーっ！！！」 激しい光の宿った剣を、マステリオンに振り下ろす。 対するマステリオンは、嘲笑うかの様な表情を浮かべながらも、黒い気を纏った拳を繰り出す。 強力な力と力が交錯する、そしてその結果は……… 皇帝の間にたどり着き、中に入った四人 「んだよ…真っ暗じゃねえか、サイガよぉ、本当にここなのか？」 「間違いない、以前マステリオンが居たのは、この皇帝の間だ」 「随分と、邪悪な気が立ち籠めていますね…」 「………しかし、明かりもないのか、これでは前が見えないじゃないか…」 そう言いながらも、闇の中を前へ歩き出そうとする四人 その時…カツリとエドガーの足にあたるものがあった。 「んあ？何だ？」 「どうした？」 「いや、何か足に当たってよ…こいつは……楯か？」 当った物をひょいと持ち上げて、それが楯だと気づく 「それは…玄武の楯！？」 楯の模様を見て、それがシリウスの楯である事に、ポラリスは気づく 「と言うことは、シリウスがここにいるのか？」 「シリウスっ！！、どこにいるの！？返事をしてっ！！」 サイガの問いをかき消すかのような大声で、ポラリスが叫ぶ………すると ボッと、部屋の壁際に黒い炎が、一つ二つと灯っていく、ドーム状の部屋の壁に円を描くように灯っていった。 そして、最後の炎が灯ると、部屋全体が見渡せるほどの明るさになった。 「フッ……よく来たな…」 そこには、愉快そうな顔を浮かべたマステリオンが居た。 「歓迎するぞ、エドガー、アレックス、ポラリス…そしてサイガ、今日こそお前達を屠ってくれよう、我が手で直々にな…」 「シリウスを…兄をどうしたっ！？」 激昂したかのような声で、ポラリスが問い質す。 「シリウス？……そこに居るではないが、お前たちの目の前に………」 マステリオンの視線を追っていくと、サイガ達の少し前に、シリウスが倒れていた。 「っ！！！、兄さんっ！？」 悲鳴に近い声を上げて、ポラリスはシリウスに駆け寄って、その身を抱き起こす。 「兄さんっ、兄さんっ、返事をしてっ！」 「ぐぅ…ポ、ポラ…リス……か？」 「兄さんっ！」 「すまない…お前だけに………重荷を与えてしまって…」 「喋らなくていいから、死なないでっ、お願いだから…言いたい事も沢山あるの、だからっ！」 懇願するかのように、シリウスの手を握る。 「……ポラリス」 「何、兄さん？」 「最後…まで、駄目な俺を……許して…く……れ…」 その言葉と共に、シリウスは眼を閉じ手は、腕は力無く床にだらりと下がった。 「…兄さん？……兄さんってば…冗談よね？ねぇ、眼を開けてよ………嘘だって言ってよっ！？」 しかし、シリウスは眼を開けない 「………っく…マステリオン……きさまぁぁっ！！！！」 シリウスを床に横たえ、立ち上がったポラリスが怒りの宿った眼でマステリオンに叫ぶ 「フッ………ハーッハッハッハッハッ、美しき兄妹愛か、中々楽しかったぞ…フフハハハハハ」 「てめぇ……ふざけるなよ」 「貴方だけは、絶対に許しておけませんね……」 怒りを露にしたエドガーと、冷静でありながらも怒っているのが分かるアレックス 「次は、お前達だ……お前達さえ、屠ってしまえば我が野望を阻める者等居なくなる、ここで仲良く死ぬがいい、運がよければシリウスに会えるかも知れぬぞ、クククククク……」 怒る３人を、嘲笑いながらマステリオンは言う 「貴様の野望など、必ず打ち砕いてやる俺たちの手でな…」 そう言いながら、サイガが前に出る。 「ポラリス、悲しいが今は怒りで我を忘れるな…四人の力を合わせなければ、奴には勝てない」 怒りに肩を振るわせ続けているポラリスに、サイガは言った。 「………………分かった」 ポラリスの返事に、サイガは頷き、エドガー達に向き直る。 「二人もだ、今こそ俺たちの力を合わせて、奴を倒すんだ」 「おっしゃぁっ！やってやろうじゃねぇかっ！！」 「ええ、やりましょうっ」 そうして、四人がマステリオンに方に向き直る。 「今こそ、この地に平和を取り戻すため、マステリオン貴様を討つっ！！」 「やれるものならやってみるがいい、自らの力の無さをその身に刻んでやるっ」 マステリオンから強力な魔力による圧力が四人に襲い掛かる。 「うくっ……」 「なんだってんだ、ちくしょう…」 「なんて魔力だ…」 魔力のプレッシャーで動きを邪魔されて、不快感を露にするポラリス達 「しかし、負けるわけにはいかないんだっ」 サイガがそう叫ぶと同時に七支刀の柄に填められた聖龍石が耀き始めた。 「ぬぐっ……な、なんだっ！？」 聖龍石から起きた光は、そのままサイガ達を包み込む。 「な、何が起きている？」 眩しい光に遮られ、マステリオンには何も見えない。 光が晴れるとそこには、金色の装備に身を包んだサイガ達が居た。 「これは……」 「凄い…魔力が溢れるのを感じます」 「何か、体の底から力が湧き上がってくるぜ」 「あの時と同じだ……これが光龍の力か」 溢れる力に驚きながらも、マステリオンと再度対峙する。 「また、あの時と同じ……おのれフガクめ、まだ逆らうかっ」 死してなお、サイガに力を貸し、自らの邪魔をするフガクに忌々しげに言葉を吐く （サイガ…エドガー…アレックス…ポラリス……今こそ、その光の力をもってマステリオンを討つのだっ） どこからともなく聞こえるフガクの声が、サイガ達に言った。 「老いぼれごときがぁっ！！」 そう叫ぶと同時に、再度プレッシャーをサイガ達に放つ しかし、サイガ達に襲い掛かるはずの魔力は、サイガ達の目の前で霧散した。 「なんだとっ！？」 「フガク様の無念、そしてこの世界に掛かる皇魔と言う闇、ここで祓わせてもらうぞっ」 「よかろう、じわじわと潰してやろうと思ったが気が変わった、そこまで死に急ぐなら、この手で嬲り殺しにしてくれるっ」 光龍の力に目覚めたサイガ達とマステリオンの最終決戦が今始まる…… 〜続〜 ______________________________________________________________________________________________________________________ 後書きのようなもの どうも、こんばんわ、こんにちわ、おはよーございます(ぁ 黒崎 浩一で御座います。 今回も、前回に続き神羅万象SSとなりました。 今回の内容は、皇魔族との最終決戦ですね 王達と行動を共にしたキャラは、気に入ってたキャラを、ちょいちょいと、他にも沢山居るんですが、まぁ、彼らの出番はもう少し後ってことで♪ 前回は、その前夜で、今回から本番という運びです。 予定としては、最終決戦は、これを含めた三本立ての予定です まず、この第一幕、そして、ライセン達を始めとした、サブキャラ達の闘いを書く幕間 そして、覚醒した四王達とマステリオンの戦い、そしてエンディングを含めた第二幕………の、予定です(ぇ まぁ、予定はあくまで予定ですから、予定は未定とも言いますし、あんま期待しないでくださいねー してるはずが無いだろーという、セルフツッコミをしつつ、また次回お会いしましょう〜 SSに関する、ご指摘、ご意見ご感想は、随時お待ちしてます でわでわ〜 ▼next ▲prev |