|
「イレインは後ろから！！私は前から安二郎様を抑えます！」 「了解っ！」 ノエルが言うと、イレインがすばやく後ろに回る。 それを見た安二郎は慌てているが、逃げることさえ出来ない。 それは自動人形の速さを知っているからだ。 自分がこの２人から逃げ切ることは不可能。 ・・・残る方法は・・・ 「さ、サレナ！早くわしを守れ！！」 座り込んだと同時に安二郎が叫ぶ。 そしてその声を聞いたサレナが攻撃を止め、すぐ向かおうとするが・・・ 「安次郎、おとなしく発信機をわたしなさい」 「安二郎様、発信機を渡してください。」 もう、その時にはすでに遅く、ノエル・イレインの２人は安二郎の前と後ろに立っていた。 悔しそうな目で２人を見て、背広の内側に手を伸ばす。 そして、素直にノエルに発信機を渡した。 ・・・おそらく、前にイレインに背中を斬られたのを思い出したのだろう。 恐怖というものは、１度体験すると簡単には忘れることが出来ないものである。 「お、お前ら・・・それをどうする気や？」 ノエルが持っている発信機を見つめて安二郎が言う。 「もちろん、その発信機を壊すのよ。こんな風にね！！」 グシャッ！！ イレインが当然と言った感じで答え、ノエルの手の上にあった発信機を砕いた・・・。 そして、ノエルがその破片を安二郎の前へと落とす。 「さっ、これで全部終了〜。安二郎、あんたの復讐もおしまい」 「サレナは・・・機能停止していますね」 ノエルが後ろを見ると、恭也の前で座り込んでいるサレナがいる。 目の輝きが失われており、ピクリとも動かない。 これは、機能停止状態を意味している。 「な、なんてことや・・・」 「残念ね安二郎。復讐は失敗。サレナは機能停止。逃げ道なし。あんた終わり！」 「お、お前らなんてことするんや！！！」 「安二郎様、それは私達の台詞かと？」 「ばっ！よう考えてみぃ！！あの自動人形になんで服従回路が搭載されいると思っとんのや！！」 「は？それはサレナを操るためでしょ？」 「じゃあ聞くが！お前にそんなもんがあったか！？」 安二郎がイレインに向かってそう言う。 もちろん、イレインには初めからそんなものはついていなかった。 イレインは首を横に振る。 「服従回路がついていたのは、それはサレナが危険だからじゃ！！ 自分で勝手に行動できないよう、いつでも命令で制御できるように回路が付いておったんじゃぞ！！ サレナが自我を取り戻すということはイレインと同じことを起こす可能性だってあるんじゃ！！」 「危険・・・ですか？しかし、実際恭也様は小太刀なしで対等に戦っていましたが？」 「それは、ワシが『倒せ』と命令したからや！『殺せ』と言っていたら、あの小僧はとっくにあの世行きじゃ！」 「でも、サレナは見てのとおり機能停・・・・・し・・・」 キュルルルルルルルルルッ サレナの方から聞きなれた機械音が響く・・・・それは・・・・ 「・・・・・・この音は・・・」 自動人形が・・・・ 「まさか・・・きょ、恭也！！」 目を覚ますときの時の・・・・ 「まずい・・・あの時と同じようなことが起きれば、ワシは・・・」 ・・・・起動音。 ザッ！！ 「っっ！？」 突然起き上がったサレナがブレードを振り下ろす。 恭也はそれを避けようと横に移動するが、反応が遅れ・・・ ザシュッ！ 「くっ！」 右肩から胸にかけて斬られる。 幸い、傷は深くはないが、斬ると同時に繰り出された回し蹴りにより、 ドゴッ 「がっ！！」 ガードできていない腹部に攻撃があたり、恭也の体が数メートル飛ばされる。 「恭也っ！！」 「恭也様！！」 倒れている恭也にノエルとイレインが呼びかける。 必死に起きようとしているが、腹部の激痛でうまく起き上がれない。 「・・・・・・・・・・私を壊そうとする者、全て壊す・・・」  無口だったサレナが静かにしゃべりだす。 そして今度は、顔を俯けたままノエルたちの方に体を向ける。 「ね、姉さん！」 「ここは、私がなんとしても食い止めます！あなたは恭也様とお嬢様を連れて逃げてください！！」 「で、でも！！」 「いいからはや・・・・・・く・・・」 ノエルの目の前・・・そこにはすでにサレナがブレードを構えていた。 先ほどと同様ブレードを上に振りかざす。 そして、もう逃げる術がないとノエルは目を瞑り・・・・ （・・・・・・・・・？） 数秒後、来るはずの斬撃が来ないことに気づき、ゆっくり目をあける。 そこには・・・・ 「い、イレイン！！？？」 〜あとがき〜 えと・・・今まで後編をサボっていたＫＩＴＵＮＥです・・・ いや・・・具体的に言うと、後編じゃないですねこれ・・・ 『後編・前半戦』という題名になってます。。 『短い上に、２つに分けるか？』なんて意見も、てんこ盛りでしょうが・・・ それは・・・・ＫＩＴＵＮＥの馬鹿やろーー！！ってことで・・・勘弁してください！！ では、最後にこの駄作を載せて頂いたＨＰの管理人様、そして読者の皆様に・・・ 『これからも、どうかよろしくおねがいします！！』 ▼next ▲prev |