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第３章 海鳴編１ （作：由樹） ×月×日 １５時３３分 日本 海鳴空港 ウォン･リーファ目標発見。 「あれがＭakotoさんね」 その一言こそがこの戦争（？）の、始まりであったと言う…… アイリーンの受難３ 「ハロー。ミスタＭakoto♪ お会い出来て嬉しいわ」 「こちらもです」 二人の握手。 リーファは現在 日本向けのクリステラ歌唱団のＣＤのジャケット撮影（重要） と、称してＭakotoと会っていた。 目標はその人となりを検分し今後の方針とするため。 ――回想シーン。 「良く来てくれたわる。 今年度のクリステラ」 真っ暗な部屋の中 一人の老婆がその目を光らせる。 「早速出ありますが、 今回の任務とはなんでありましょうか？」 「ええ。 仕事を取りつけたわ。 内容は日本向けのアルバム発売。 ジャケットはクリステラ達の写真…… これを意味する所は……解るわね？」 「たしかに解りますが 目標が都合良くでてきますでしょうか？」 「そちらに関しては私が手配させていただきました」 「イリア教頭」 暗闇で気がつかなかったが その眼鏡、その声、 たしかに見知った教頭のものだ。 「前回のアイリーンの撮影を校長が気に入ったと 先方には打診してあります。 そして、予定通りにＭakotoさんが出てくることも……」 「本当に気に入ってるのはアイリーンとも知らず…… アリがあり地獄に落ちるよーなものね……」 ティオレはそっと窓を見る 真っ暗なそこにはなぜか光があるよーに思えた。 「このティオレ 可愛い教え子のためなら たとえ相手が妻帯してても結婚させて見せるわ」 「校長。 それは犯罪だと何時も言ってます」 「結婚できないのはつらいわ…… そして晩婚もつらいのよ」 「校長…… 私の時にも是非お力ぞえを」 「まかせて♪」 そして、ティオレとリーファは「ふっふっふっふ」と笑いあった。  ひとしきり笑った後。 「イリアさんは相手いないんですか？」 「それがね、この娘 見合い写真すら見てくれないのよ」 「ひょっとしたら」 「ひょっとするのかしら？」 「相手なんて居ません！ ただ、私はこの仕事に全てをかける所存で」 「ひょっとして女性が好きとか」 「ありえるわね」 「ありえませんっ！」 回想は終わる――。 （目元は優しげで怖い印象はない。 こちらに気を使ってるかのよーな細かいきづかい…… でも、普通のカメラマンよねぇ？ アイリーンは何処が気に入ったのかしら？） 「と…… ここまでが今回の撮影の説明ですが…… 何か質問とかありますか？」 「では、一つ」 「なんでしょう？」 「あなたの女性の好みを教えてください」 「は？」 「ふふ。 お仕事の話ばかりじゃつまらないでしょう？ こちらの要望にこたえてくれた……そう、一種のサービスよ。 サービス♪」 「はぁ…… それは明日はそれにあわせてくれると？」 「そう言う事……」 「えっと……クリステラとはちょっと会わないですが…… 元気な印象を受けるのとか好きです」 「わかりました。 楽しみにしててくださいね♪」 「はぁ……」 そう言って席を立つリーファを少し照れた顔でＭakotoは見送って居た。 ×月×日 ２０時０７分 日本 とあるマンションの一室。 「と、言う訳で仕事よ。アイリーン」 ここフィアッセのマンション。 現在、日本でメイン活動中のアイリーンの元へリーファがやってきた。 「リーファ……。 ちゃんと説明して」 説明中です。 しばらくお待ちください。 「そこで私？」 「うん。アイリーンならご要望の元気っ子でしょう？」 「そりゃ、そうかも知れないけど リーファだって十分元気じゃない？」 「アイリーン」 「はい？」 「クリステラになったのよ！ クリステラに！ その後の苦労があなたにはわかる？！」 涙目のリーファにアイリーンの同情心が首を出す。 「解ったわよ…… 他ならないリーファの頼みだし。 立派に仕事してきますっ！」 「ええ、立派に仕事してきて。 あと、校長にも言われたんだけど」 「うん？」 「写真を撮られる時はその相手を愛しい恋人と思いなさいだって」 「そ、そうなの？」 「ええ。 私達はとられる側ではあまりないから それくらいしないと良い笑顔にならないとか」 「なるほど…… 解った。がんばってみる」 「うん♪ はい。相手の写真」 差し出される相手の写真。 アイリーンは固まる。 「これ……Ｍakotoさんじゃないですか」 「あら？ お知り合い？」 「わっざとらしい…… フィアッセあたりが何かたくらんでる事くらい知ってるんだからね」 「だとしても あなたは仕事を受けると言ったはずよっ！」 びしっとリーファの指先がアイリーンを指す！ まるで探偵ドラマの探偵のよーに。 「そりゃ、受けるけどね……」 「ふふっ。楽しみ」 （やっぱりたくらんでる…… 本当どうしよう……） （平気よ、アイリーン 私も例の少年（アドルフ）と上手く言ってるし あなたもがんばってね♪） 同時刻 海鳴の某レストラン。 「いや、ＳＥＥＮＡさんこの度はどうも」 ＭakotoとＳＥＥＮＡ事ゆうひは食事とともに打ち合わせをしていた。 「いやいや。うちも楽しい話を聞かせてもらいましたわ。 そいでな、今度のアイリーンの撮影なんやけど……」 「はぁ？ アイリーンさんが何か」 「あの子…… 恥ずかしがりやでな。踏ん切りがつかんみたいなんよ」 「そうでしたか……？ この間のを見る限りそうでも……」 「それは愛するＭakotoさんの前やもん♪」 「愛する……って えぇ？！」 「ふっふっ。 ここからは極秘なんやけど」 「は、はぁ……」 （おぉおぉ、真っ赤になってる。 手馴れてないってのはポイント高いな。 手馴れてたらはぐらかされるとアイリーンも可哀想やし うちらの努力も無駄になる） 「クリステラが全力でお膳立てします」 「クリステラがっ！？」 「ふっふっふ…… この未婚集団クリステラ 恋の話は皆むっちゃ好きやで♪ まさか……アイリーンでは不服とか言わんよな？」 「言いません……言いませんけど……」 「平気。平気やって♪ ちょっと結婚して一生仲良くしてくれたら良いや♪」 「それ……ちょっとじゃないよーな」 「まぁまぁ、二人未来に乾杯や♪」 その日のＳＥＥＮＡさんはとても嬉しそうだったと言う。 |