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今日から数日間、風芽丘の学校の授業風景はとても静かなものになる。 広い敷地内、グラントや体育館から音が消える僅かな時。 授業中、教室から鳴り響くのはペンの走る音だけになる。 ざわめきは一切ない。 それはいつもと違う時。 日々の授業で培った力を存分に発揮する、戦いの日々。 テスト週間の始まりである。 とらいあんぐるハート３ＳＳ『眠れない時間』 テスト用紙が配られて数分後。 俺、高町恭也は最強の敵と戦っていた。 「ううっ」 襲ってくる敵は人間の三大欲求の一つ、睡魔である。 眠い……とにかく眠い。 俺はウトウトしていた。原因は明白である。 昨日はつい調子がよくて、今日がテストだと言うのに朝まで鍛練をし続けてしまったのだ。 だが、たった一日でこうなる俺ではない。 実はその日の前日も鍛練の調子がよくて徹夜しているのである。つまり、二日連続徹夜しているわけだ。 自業自得である。 しかし、もう少しで俺にも御神流の極み、『閃』のなんたるかが掴めそうだったのに、勉強したり睡眠などとってられない。 「くっ！」 でも、少しぐらいは寝ておけば良かった、そう後悔する。 眠すぎて頭がぼぉ〜としてきた。 だが、とにかく眠るわけにはいかない。 俺は鉛のような腕を持ち上げる。 テスト用紙に……文字を書き込まねば……。 カキカキカキカキカキ シャーペンの音だけが静かに鳴り響いている。 その音は、今の俺にとって子守唄のようにしか聞こえなかった。 ららららら〜♪ 本当に子守唄まで聞こえてくる感じがする。 うぬぬぬぬぬ……。 眠って成るものか。 俺はシャーペンを握り締める。 このまま力尽きるわけにはいかない。 まだ……一問も解けていないのだ。 このままでは赤点決定である。 ららららら〜♪ 「っ！？」 幻聴ではないことに気が付いた。 こ、この声は長崎みなみさんの……じゃなくて、紛れもなくフィアッセの声である。 一体何処から響いてくるのだろうか？ 周りを見回して確認したい衝動に駆られるが、今はテスト時間。 そんなことは間違ってもするわけには行かない。 カンニングに間違えられるのがオチだ。 恭也〜♪ 負けないで〜♪ 眠っちゃダメだよ〜♪ 翠屋デリバリー、フィアッセの歌ばあじょん。 どうやら、俺が二日間徹夜していることを今朝話してしまったことが原因なのだろう。 「恭也が眠らないように、私、頑張るね〜」 なんて謎めいた事を言っていた訳が、ようやく理解できた。 ありがとうフィアッセ！！ 俺は心の中で感謝する。 フィアッセのこの恥ずかしい歌のお陰で、結果として俺の睡魔は完全に吹っ飛んでいたのだ。 さあ！！ これで睡魔ではなく、問題に集中……、 「うっ！」 俺は問題を見て愕然とした。 今までうつろな瞳で見ていたせいで分からなかったが、『どの問題も俺には解けるレベル』ではなかったのである。 勉強していないのだから、ある意味では当然だった。 「うううっ」 そして、分からないとなるとドンドン眠くなってくる。 恭也、寝ちゃダメ〜！！！！ 「ぐはっ！」 何処からか俺のことを見ているであろうフィアッセが、俺が力尽きそうになったのを見て、更に声のボリュームを上げる。 頼む……どっちにしろ今日のテストは駄目だ。 今はおとなしく寝かせて欲しい。 起きなさ〜い！！！！ だが、そんな事情を知らないフィアッセは、頑張って俺を眠らせないようにする。 （もう……駄目だ、でも、眠いのに……この状況じゃ眠れない） 果たして、俺は生き残ることが出来るのだろうか。 既に不安はそれだけだった。  本日の教訓 勉強は普段からコツコツと頑張りましょう〜 ＢＡＤ ＥＮＤ あとがき なのたんマンセーと相互していただき、感謝しております。 副管理人の御神の剣士です。 少しでもお楽しみいただければ幸いです。 それではまたどこかの作品でお会いしましょう〜 |