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Ｉｎｔｅｒｍｉｓｓｉｏｎ　フィリス＆フィアッセ


「ほらフィリス、ちょっとじっとしてて」
「やぁ、フィアッセ、くすぐったいよ〜」
　重要な話がある、と言う矢沢と共に恭也が別室に入って、３時間弱。
　その間に簡単なＥＳＰ検査を終えたフィリスは、現在着替えの真っ最中……なのだが。
「こら、暴れないの」
「あは〜♪」
　いつのまにか、くすぐったがって暴れるフィリスに何とか服を着せる、と言うバトルな展開になっていた。
　……原因は、後ろ前にシャツを着たり、着替えそっちのけで靴下を手に嵌めて遊ぶフィリス（しかもそのまま外に出ようとした）に、フィアッセが着付け直しをさせ始めた事なのだが。
　かくして激闘１５分。
　きゃっきゃと笑いながら暴れるフィリスに苦労しつつ、何とかフィリスに服を着せたフィアッセ。
　激闘の結果、引っ張られたフィアッセの服や髪がちょっと乱れていたりするのもまぁご愛嬌である。

「はい出来た。　フィリス、ちょっとそこで「くるっ」てしてみて？」
「うん」

　フィリスはフィアッセから５歩ほど離れて、くるりと一回転。
　脛くらいまでの長さのスカートがふわっと翻る。
　それと一緒に、胸くらいまでのツインテールにした髪が綺麗に回る。
　フリル多めのワンピース、しかも白基調。
　フィリスが以前アイリーンに奨められた「あれ」とは違い、大分子供っぽいデザインである。
　もちろんフィリスの私物ではなく、フィアッセが用意したものであるのだが。
　……一体どこからこんな服を用意したのか、まったくもって謎である。

「んーー、VeryCute♪」
　フィアッセはご満悦の様子である。
　何を隠そう、フィリスをツインテールにしたのは彼女の仕業だ。
　綺麗な銀色の髪に合うように、リボンも白系のものにしてある。　非常に仕事が細かい。
「やっぱりフィリス、その髪型似合うよー」
「うーん、きょうや君もかわいいって言ってくれるかな？」
「もちろん♪きっと、フィリスがかわいすぎて言葉が出なくなるわよ」
「そっかー……えへへ」
　照れて笑う仕草が何と言うか、破滅的に可愛い。（●姫的表現）
（これなら……いける！）
　意味不明の確証を得たフィアッセは、心の中でガッツポーズ。

ん――、VeryCute♪

「ねぇフィアッセ。　きょうや君、まってるかな？」
「んー、どうかな。　フィリスのパパがお話するって言ってたから、まだお話してるかも」
「でも、あれからたくさん時間たってるよ？」
「それにほら、お話終わったら呼びに来てくれるって言ってたし。　だからまだだよ、きっと」
「むー」
　フィアッセはむくー、とふくれて見せる。
「おとーさんはおはなし長いから、きょうや君がたいくつしちゃうよ」
「それはあるかも」
「ねー」
　納得して笑いあう女二人。
　一人足りなくても充分に姦しいらしい。

　コンコン。

「あ、はーい」
「フィアッセさん、着替え終わりましたかー？」
　ドアの外から聞こえてきた声は、看護師の稲村さんのものである。
「バッチリ」
「そうですか。　先生たちのお話も、終わったみたいですよー」
「うん、今行くー」
　そう答えて、フィアッセは傍らのフィリスの手を繋ぐ。
「じゃあ……いこっか、フィリス？」
「うん！」

　そして二人は、更衣室を後にした。


本編に続く



お詫び

フィリスのツインテール＆お子様ファッションがやりたかっただけですはい。
一応今後も外行きの際にはメインで出る服なので、それなりに気合を、と。
髪型はポニーとかアップとかお団子とか、いろいろ出る予定ですよ？
「それだけのためにこの部分書き直しです」
うわーい。
ちなみにフィアッセがなんでああいう服を持っていたかは内緒。
「ぶっちゃけた方が楽ですよ？」
まぁ、以前奨めたら強烈に断られたので、いつか着せてやろうと画策した、とか。
「何気に腹黒くないですか、フィアッセさん」
今回はそういう役どころですの。
あ、稲村さんは前回でツッコミ担当の看護師さんです。
ビジュアルは前回挿絵参照、ってことで。
「フィリス先生、子供っぽいところだけじゃないですね」
服が恭也に気に入られるか心配したり、矢沢先生の話が長いのを気にしたりな。
あの辺はまぁアレだ、女の子ですから。
「ますたーはそういうの好きですよねぇ……」
任せとけ。
「あと、なにげにむくー教信者ですか？」
違うが、適切な表現がなかったの。